明日香園におけるタイミー活用レポート

技能実習日誌6年分(3,615件)+ FMBiz出荷実績(549,700本)+ 気象データ(2,332日)の統合分析に基づく 2026年3月21日


エグゼクティブサマリー

明日香園は年間549,700本の切花(ユリ・ケイトウ)を家族4名+パート2名+ミャンマー実習生3名の計9名で出荷している。6年分の日誌データと出荷実績を突合した結果、秋(9-11月)に年間出荷量の42%が集中し、同時期に来季の球根植えも最盛期を迎える「二正面作戦」が最大のボトルネックであることが判明した。

タイミー(スポット雇用)を10-11月の木曜に週1名、年間14人日投入することで、この二正面作戦を緩和できる。年間コストは約7-8万円。太良町は2025年11月にタイミーとの包括連携協定を締結済みであり、実施環境は整っている。


1. 明日香園の年間負荷構造

出荷量の季節分布(2025年実績)

時期 出荷本数 年間比率 主な花
1-2月 少量 - ユリ
3-5月 123,790本 22.5% ユリ+ケイトウ
6-8月 157,310本 28.6% ケイトウ
9-11月 233,155本 42.4% ケイトウ
12月 35,445本 6.4% ユリ+ケイトウ

負荷ピーク TOP3

順位 負荷スコア なぜキツいか
1 5月 9.2/10 ケイトウ71,000本+ユリ11,000本の同時出荷に加え、種まきと間引きのピークが重なる
2 10月 8.4/10 出荷量が年間最大の84,080本。同時に来季のユリの球根植えが最盛期
3 9月 7.7/10 出荷81,980本+ルーティング+ハウス片付け。ケイトウ→ユリへの切り替え期

チームの作業実態(日誌分析)

実習生の作業記録の80-90%が「出荷」(収穫+選別+梱包)に集中している。仕込み(種まき・球根植え)や管理(ハウス整備・カーテン張り)は全体の10%以下で、社長が中心に担っていると推測される。


2. タイミー投入の基本方針

考え方

「9人の手を収穫に集中させるために、それ以外をタイミーで埋める」

出荷日(月・水・土)にタイミーを入れるのではなく、副作業日(火・木・金)に入れる。経験者は収穫・選別に専念し、スキル不要の作業をスポットで外注する。

任せられる作業の判断基準

タイミーのワーカーは農業未経験者がほとんど。初見で、当日の説明だけでできる作業に限定する必要がある。判断基準は「外国人実習生が初日にできた作業かどうか」。日本語が限られる実習生が初日にできたなら、日本語ネイティブのタイミーワーカーにもできる。

タイミーOK 経験者限定
球根植え(並べるだけ) 花の選別(品種の判別が必要)
ハウス片付け・草掃除 梱包の品質チェック
ピート運び・広げ 芽かき(力加減が必要)
箱作り・運搬 種取り(カビとの区別)
内カーテン張りの補助 出荷のラッピング
石拾い・溝掃除 ネット張り(高さの加減)

日誌に記録されていない雑務(道具の洗浄、資材の移動等)は実際にはもっとあるが、それらもこの判断基準で振り分ければよい。


3. 最適な投入タイミング

DB分析の結果

6年分の日誌データを曜日×月×作業カテゴリで分析した結果、タイミー適性作業が最も多い組み合わせが特定できた。

最適曜日:木曜

曜日 タイミー適性作業の件数(6年間)
88件(最多)
56件
14件
12件
7件
2件

木曜が圧倒的。出荷日(月水土)の翌日にあたる木曜に、片付けや準備作業が集中するためと考えられる。

最適月:10-11月

タイミー適性の作業日数 主な作業 投入優先度
10月 14日 球根植え ★★★
11月 16日 球根植え+内カーテン張り補助 ★★★
12月 24日 カーテン張り+掃除+片付け ★★
7月 10日 ハウス片付け+草掃除 ★★
1月 10日 ハウス整備

「遅延メンテナンス」のパターン

分析で特徴的だったのは、出荷ピーク直後の1-2週間に片付け・管理作業が溜まるパターン。

出荷に追われて後回しにしていた作業が、少し落ち着いた週にまとめて来る。この「溜まった週」にタイミーを入れるのが最も効果的


4. 段階的導入プラン(7月〜11月)

いきなり繁忙期に投入しても、教える余裕がなく現場が混乱する。閑散期から段階的に受け入れ、リピーターを育てた上で秋の本番に臨む。

全体の流れ

Phase 1(7-8月)    Phase 2(9月)      Phase 3(10-11月)
お試し・人を見る  →  球根植えを教える  →  慣れた人で本番
6日・1-2名          5日・2-3名          17日・2-3名
ハウス片付けだけ      球根植え開始         球根植え+カーテン

Phase 1:お試し(7-8月)── 教える余裕がある時期に

項目 内容
目的 タイミーの仕組みに慣れる。良いワーカーを見つける
日数 木曜に月2-3回、計6日
人数 初回1名 → 慣れたら2名
作業 ハウス片付け・ピート運び・トレイ準備のみ。花には触らせない
時間 6:00-12:00(夏場)
監督 家族が朝15分で説明。パートか実習生がデモ
掲載 1ヶ月前にまとめて掲載

なぜ7-8月か: 日誌データで検証済み。7-8月のタイミー適性作業はハウス片付け+種まき準備で計10日分ある。出荷量が秋の半分以下で教える余裕がある。失敗しても吸収できる。

初日ワーカーに適した作業の基準:「1分以内の説明で理解でき、やり直しが容易で、安全」なもの。ハウス片付けとピート運びはこの条件を完全に満たす。

成功基準: - 6日中5日以上マッチする - 作物・設備の事故ゼロ - 2回以上来てくれる人が3名以上見つかる

Phase 2:リピーター育成(9月)── 球根植えを教える

項目 内容
目的 Phase 1の良いワーカーを「こっそり指名」で呼び戻し、10月に備える
日数 木曜に週1回、計5日
人数 2-3名(Phase 1リピーターを優先指名)
作業 球根植え補助を開始。ハウス片付けは予備タスク
時間 8:00-14:00
監督 パートを固定リーダーに。家族は朝の配置と最初の列の検品のみ
掲載 指名で埋まらない分だけ5-7日前に公開募集

なぜ球根植えか: 球根を並べて土に入れる作業。判断は不要だがやり方を覚える時間は要る。9月に1回やっておけば、10月の本番でいきなり戦力になる。

成功基準: - 指名ワーカーで70%以上充足 - 球根の植え方の検品合格 - 10月に呼べるリピーター4名以上確保

Phase 3:本番投入(10-11月)── 慣れた人で回す

項目 内容
目的 秋の二正面作戦(出荷84,080本+球根植え最盛期)を乗り切る
日数 火・木の週2回、計17日(予備で土曜3日追加可)
人数 火曜2名・木曜3名
作業 球根植え(主力)、内カーテン張り補助、ハウス片付け
時間 8:00-14:00
監督 パートか家族1名を「タイミー担当」として固定
掲載 9月初旬に10月分、10月初旬に11月分を一括掲載

ポイント: Phase 1-2で育てたリピーターが中心。初見のワーカーは片付けだけ。球根植えは2回目以上の人だけ任せる。

成功基準: - 充足率85%以上 - うち60%以上がリピーター - 収穫チームがタイミー対応で抜かれない

最大のボトルネック

ワーカーの供給(20km圏内で月2,702人)ではなく監督体制。だからこそ「閑散期に少人数で試し、リピーターを育て、ピーク時は慣れた人だけ投入」という段階設計が必要。


5. コスト試算

タイミーは完全成果報酬型(初期費用・月額費用・掲載費用なし)。手数料は報酬額の30%。

計算式(タイミー打ち合わせ資料より)

((時給 × 労働時間 + 交通費300円) × 1.3手数料) × 1.1消費税 + 振込手数料220円

フェーズ別コスト

フェーズ 人日 1日あたり コスト
Phase 1(7-8月・4h/日) 8日 6,541円 52,328円
Phase 2(9月・6h/日) 12日 9,486円 113,832円
Phase 3(10-11月・6h/日) 43日 9,486円 407,898円
年間合計 63日 約57万円

比較

雇用形態 年間コスト
タイミー段階的投入 約57万円
常時雇用1名 200万円〜
パート月10日×12ヶ月 60-80万円

Phase 1だけなら5万円で試せる。Phase 3まで進めるかはPhase 1-2の手応えで判断すればよい。初期費用ゼロで始められるため、リスクは極めて低い。


6. 実施環境

施設園芸の強み

明日香園はビニールハウスでの施設園芸であるため、天候による作業中止リスクがほぼない。露地栽培の農家がタイミーを使う場合、雨天中止→当日キャンセルが最大の課題になるが、明日香園ではこの問題が発生しない。ワーカー側にとっても「確実に働ける」安心感があり、リピーターがつきやすい条件が揃っている。

太良町の状況

代替手段

手段 特徴 備考
daywork 農業特化アプリ。JAさがが導入済み タイミーと併用推奨
シルバー人材センター 草刈り・剪定など熟練向き 時給1,050円〜
JAさが労働力相談窓口 求人+条件調整の代行
近隣農家との労働力シェア 武雄市で法人化+アプリ可視化の事例 将来的な可能性

法的留意点


7. 募集文の例

10月(球根植え)

花農家のお手伝い。ビニールハウスの中で、ユリの球根を畑に並べて植える作業です。屋内作業で天候に左右されません。特別なスキルは不要、当日説明します。 時間:8:00-12:00 / 佐賀県太良町

7月(ハウス片付け)

ビニールハウスの片付け・草掃除のお手伝い。使い終わったハウスの中を掃除して、次の花を植える準備をします。体力仕事ですが単純作業です。 時間:6:00-12:00(夏季は早朝スタート)/ 佐賀県太良町


8. リピーター確保の戦略

タイミーの制度上、「こっそり指名」(良かったワーカーに非公開で求人を出す)が可能。リピーターを確保するための3段階:

  1. 7-8月の閑散期にトライアル ── 教える余裕がある時期に来てもらい、作業を覚えてもらう
  2. 良かった人をこっそり指名 ── 9-11月の繁忙期に非公開求人で呼び戻す
  3. 早期・一括掲載 ── 1ヶ月前にまとめて掲載するとリピーター率が約36%向上(タイミーデータ)

タイミーのデータによると、月6日以上掲載でリピーター率約30%、月30日以上で約60%。

求人設計のポイント

項目 推奨
時給 1,030円〜(佐賀県最低賃金でもワーカーは来る)
交通費 300円/日(付けると応募率UP)
勤務時間 6h推奨(ワーカーの日当が上がり稼働率UP)
開始時刻 朝6時〜でも割増なし(22-5時以外)
掲載タイミング 1ヶ月前にまとめて一括掲載
原稿作成 タイミー側で無料代行可(農業向けノウハウあり)

9. タイミーを「採用チャネル」として使う

タイミーの最大の価値は「人手の穴埋め」ではなく、有料のワーキング面接としての活用。一緒に働きながら合う人を見つけ、レギュラーに引き上げる。タイミーは直接雇用への転換を公式に推奨しており、紹介手数料はゼロ。

採用ファネル

レギュラー1人を確保するには、15-30人の初回ワーカーが必要。

ステージ 転換率
1日体験 → リピート 25-35%
リピート → 月3回以上 40-50%
月3回以上 → レギュラー 30-40%
1日体験 → レギュラー(全体) 3-7%

タイムライン

時期 やること 目標
7月 テスト投稿。ハウス片付け・ピート運び 初回ワーカー8-10人を見る
8月 続行。良かった人をこっそり指名で再招待 リピート候補4-6人を特定
9月 リピーターに球根植えを教える。固定曜日を提案 定期ワーカー2-3人に育成
10-11月 本番投入。信頼できる人にパート転換を打診 レギュラー1人確保

1日で見るべき5つのシグナル

項目 見ているもの
信頼性 時間通りに来るか。準備ができているか
体力 後半もペースが落ちないか
指導受容力 1回の説明で覚えるか
チーム適合 家族や実習生と自然にやれるか
自発性 次のタスクに自分で気づくか

定着のカギ

併用可能な助成金

注意点


10. 今後のステップ

  1. 社長にレポートを共有し、投入タイミングと作業内容の妥当性を確認
  2. 7-8月のトライアルを目標にタイミーに申し込み(Webフォーム → 3営業日でアカウント発行)
  3. 求人原稿をタイミーに代行依頼(無料、農業ノウハウあり)
  4. 作業マニュアルの整備。ワーカーが当日10分で作業に入れるレベルの手順書(写真付き)
  5. 9-11月にリピーター指名で本格投入
  6. 明日香園OSに記録機能を追加。スポット雇用の実績データを溜め、翌年の計画に反映

タイミー担当連絡先


データソース

データ 件数 期間
技能実習日誌 3,615件(122ファイル・6人分) 2019-11〜2026-05
気象データ(Open-Meteo) 2,332日 2019-11〜2026-03
出荷実績(FMBiz) 118セリ日分 2025-03〜2025-12

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